才能

無能とか有能とか 下らない尺度
才能があればいいだけなのに 馬鹿みたい
「貴方はいつも人を見下してる」とか
余計なお世話だよクソビッチ

黙って聞いてりゃいい気になりやがって
てめぇなんかこのナイフとフォークで
「また暴力?」 煩い口だな相変わらず
いつか殺してやる いつか殺してやる

取り憑かれていた僕を俯瞰して見ると
哀れな猿かそれ以下でしかないみたいで
人間として生きる以上 どんな奴だって
人間というレールを歩いていくしかない

「まるでスタンド・バイ・ミーみたい」
麦わら帽子の少女が笑っている
僕もそれにつられて笑顔を並べて
また右足の眺めては目を逸らして

異常であることがこんなに辛いなんて
子供の時には思いも考えもしなかった
正常な頃に戻してほしい お願い
牧師に縋る僕が惨めに見えるかい?

渋谷のスクランブル交差点で
狂っていく人達を眺めていた
肩がぶつかっても何も感じない
それは時代が感覚を溶かしたのか

古ぼけた写真をずっと眺めている
セピア色に染まった思い出のかけらを
指でなぞっては あの子の口元に
吸い寄せられていく 無意識の内に