無題

風邪が未だに治らない。

咳が止まらない。

咳止めシロップには、コデインと呼ばれる成分が入っている。

コデインは、阿片(アヘン)に含まれる成分の1つらしい。

あのボードレールも愛好していたらしい。(一冊も読んだことないけど)

僕は、好きなものが少ない。

好きな食べ物/飲み物も凄く少ない。

唯一、これは好きだと言えるものは、

コーラとオムライスくらいだ。

そんな僕でも、咳止めシロップの味は、

かなり好きだ。

(因みに僕はドクターペッパーも大好きなので、

「よくそんなものを飲めるな」みたいな意見は無意味だ。)

子供の頃から大好きだった。

大学ぐらいになると、あまりの奇人ぶりに、

「薬中かと思った」とか言われることもあったけど、

基本的に僕は「クスリ」と呼ばれるものに手を付けたことがない。

セックスでもゴムに穴が開いてないか入念にチェックするような男なので、

そういう危ない橋は絶対に渡らない。

だけど、思えば、風邪をよく引いていた。

そういう時は、言い訳を交えながら、

風邪薬を大量に飲んでいた。

まるでラムネみたいに。

それが、トリップ状態を産み出すのか、

僕にはわからないけれど、

そうだった。

 

咳止めシロップを飲み、

predawnを聴きながら、

中島らもを読む。

これはなかなか贅沢なことのように感じた。

それにしても、日本語ってのは打つのがめんどくさい。

外国語はこんなにスペースキーとエンターキーを打つ必要がないと思う。

羨ましい。

 

僕の母親は英語にコンプレックスがあり、

中学時代、僕に熱心に英語を教え、

中学3年の頃には早稲田の問題も解けるレベルになっていたが、

今はもう何も分からない。

文法規則さえ分からない。

あの記憶はどこに行ってしまったのだろうか。

時々悲しくなる。

が、忘れる。

 

僕は純文学の冗長な文体が大嫌いだ。

自分が書く文章と同じぐらい嫌いだ。

盛り上がりがよく分からないから。

だから、めんどくさいレディオヘッドの曲も嫌いだし、

プログレも長いし、ビートルズのトロい曲は寝る。

 

どうでもいいけど、predawnはドラッグだ。

tunnel lightと言う曲の和訳を読んだことがあるだろうか。

公式サイトの隠しページに存在するので、

時間がある方は読んで頂きたい。

 

僕は一瞬、たぶん0.7秒ほど、

「セックスしたい」という衝動に駆られたが、

一瞬にして収まってしまった。

僕はそういう男である。

だから、女がいない現状を、

「一般的感性を持つ自分の人格」はショックを受けているが、

ルートとなる人格は別に大したことと思っていない。

それ以上に、もっとスペックがあるのだから、

勉強しろ、と自分に語り掛けている。

俺はこいつが嫌いだ。面倒だからだ。

だけど好きだ。

だから本を読む。

本の内容が如何につまらなくて、くだらないものであっても、

作者が優れた人間であれば得られるものもある、作品もある。

と言いつつ、僕は本を何も知らない。

国語の教科書に載っているような有名人には興味ないし、

外国の文豪にも興味はない。

最強の文豪は自分の中にいる。

それだけでいい。

それだけでいいんだ。

そろそろ自分との対話を終わらせたい。

 

自分と対話することは楽しいことだけど、

なかなかチャンスがない。

この記事自体、大して中身はないが、

それでも楽しい。

自分は話題が尽きない。

なんせ、25年も一緒にいるのだ。

こんなにいた人間は、他にいない。

自分より自分を知っている人間はいないのだ。

隠したい過去も、教えたくない楽しい遊びも、

全て知っている。だから自分は面白い。

究極の内輪ネタの連続。寝る時も一緒だし、

死ぬ時も一緒だ。自分から離れることはない。

キーボードを打つのが楽しい。

昔の連中は、こうやって、原稿用紙ないしは

お洒落な紙に、自分の思想や思考や妄想を投影し、

筆を走らしていたのだろうか。

 

咳止めシロップ10mlで随分気分が良くなった。

それは間違いなく、薬効ではなく、

雰囲気と気持ちの問題で、脳内麻薬が噴出したのだろう。

 

2,3年前の親友も、時間が経てばただの喋る肉塊に過ぎない。

大体の話にオウム返しだ。

オウム返しは「対話」ではない。

みんな、ハッピーになればいい。

幸せならそれでいい。

僕の願いはそれだけです。

そろそろもう、言いたいことはなさそう。

逆再生する音楽を皮切りに、僕は自分との対話を終了する。

最後に聴こえてくるのは、バイオリンとピアノの音。

クラシックが、クラシックと呼ばれる理由が、

ほんの少し、解った気がする。