無題
緑色の浅い部屋で
貴方は昔の話ばかりしている
大切な人を殺してしまったこととか
友達を守れなかったこととか
私はそんな話が聞きたいんじゃないのに
いつも貴方の部屋に来てしまう
今日はブルーだった
シーツは取り替えてあった
特に意味はない
今日は子供の頃の話をしていた
子供の頃の話はいつもセピア色で
直接記憶を移されるような貴方の声に
うんざりしていた 今日もまた
シーツは取り替えてあった
カーテンはシミだらけだった
知らない国の絵本があった
パイプの葉が切れていた
夕方になるといつも貴方は
私に向かってさよならを言う
まだ帰るわけじゃないのに
そもそも 繋いだ手 そのままだし
日が暮れる前に帰らなきゃ
そう思っていたのに
シーツは取り替えてあった
向こう側の景色が見たかった